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【イカの体】
イカは、無脊椎動物のうち頭足類という種類に分類されています。ヒレの付いている円錐形の部分、人間の感覚で見ると、これを頭だと思いがちですが、中に入っているのは脳ではなく内臓、よってこれが胴体。その下の目が付いている部分、これが頭です。頭から直接、足が生えている為、タコとともに「頭足類」と呼ばれています。 イカの持つ10本の足、「イカの下足」などと読んでいますが、生物学的には腕と見なされていて10本の足のイカが「十腕類」、8本足のタコは「八腕類」と分類されています。
魚類は筋肉でヒレを動かして推進力に変えますが、イカはどのようにして高速遊泳をしているのでしょうか?内臓を覆う肉質の部分、これを外套膜と言います。この外套膜と頭の隙間から水を吸収し、エラを洗い、酸素の少なくなった水を吐き出します。この、腹側にあって水を吐き出す器官を「漏斗」と言い、ここから水を勢いよく吐き出す事によってジェット推進するのです。水を吐き出す際、漏斗の向きを変えることによって進行方向を決めることが出来ます。胴体に付いているヒレは、体勢の安定化を図る事が主な目的のようです。ちなみにイカの場合、目がついているほうが背中で、漏斗が付いているのは、その裏という事になります。
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イカは無脊椎動物の中で軟体動物に分類されています。軟体動物としてのイカの仲間には、どのような生物がいるのでしょうか? すぐに思い浮かぶのはタコではないでしょうか。骨が無く柔らかい体を見ただけで納得してしまいます。軟体動物群を形成するもうひとつの一大勢力に貝類があります。貝は硬い殻に覆われている為、「軟体」というイメージが湧きませんが、イカの先祖は貝類だと考えられています。6500万年前の中生代に繁栄したアンモナイトやオウム貝などです。現在でも「コウイカ類」と呼ばれている仲間は、背中に舟形或いは柳葉形をした石炭質の甲(貝殻)を持っています。貝殻と言っても、カメのように体を覆っている訳ではなく、内在型で肉質に覆われていますが、コウイカの死骸から採取されるそれは、貝類のものと見分けがつかないほど似ています。 また、スルメイカや、ヤリイカの仲間も一見解りませんが、貝殻を持っています。魚雷型をして、高速で泳いで魚を追う彼らは、進化の過程で貝殻を薄い膜のような軟甲に変えてしまったのです。
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〔左:コウイカ 右:スルメイカ〕 |
イラスト:加工品課 石橋
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イカの語源はなんでしょう? 中国の古典では「イ」は発後の音で「カ」は腹の中に甲があることを称したもの、と書れています。 また「イ」は「白い」、「カ」は硬いという意味であると書かれた本もあるそうです。国によって、イカは呼び名は様々ですが、イカの特徴をあらわした面白いものもあるようです。 中国では「墨魚」「烏賊魚」などと呼ばれています。 墨魚は文字通り墨を吐くことから容易に想像がつきます。「烏賊魚」は「カラスを賊害する魚」という意味で、イカはカラスが大好物な為、いつも水上に死んだ様に浮かび、それを見て襲い掛かってきたカラスを触腕でからめ取り、水に潜って食べてしまう事からついた名前だそうです。 日本でもイカを漢字で「烏賊」と書きます。 「触腕」とは10本の腕のうち、とりわけ長い2本で先の方の平たくなっている部分(触腕掌部)にたくさんの吸盤が付いています。この触腕で餌を獲ったり探ったり交尾の時に抱きついたりするようです。ちなみにタコの吸盤が筋肉の収縮によって吸着するのに対して、烏賊の吸盤には角質のリングが付いており、その内側の歯によって吸着します。 英名では「インク・フィッシュ」と言う呼び方もあります。 これは中国語の「墨魚」と同じです。ラテン語でコウイカは「セピア」コウイカは墨を作る器官が発達しており、昔はその墨を絵の具に使いました。しかし、時間が経つとすぐに色褪せてしまうようで、これが「セピア色」のいわれです。 |
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イカは、日本で消費される海産物の中で、もっともポピュラーな物の一つで刺身、一夜干し、干しスルメ、串焼き、煮物、塩辛等、食べ方は多彩。安くておいしいイカは、日本人の食卓に欠かせないものです。 近年の消費量は、年間で約40万トン。日本以外にも、スペイン、イタリアなど、地中海沿岸の地域でもイカは料理に欠かせない食材ですが、刺身で食べるのは世界でも日本だけのようです。 450種類もの内、食用とされているのは約30種類 冷凍技術の発達した現在、世界中の様々な海で取れたイカが国内で加工され出荷されています。 イカは低脂肪、低カロリー、高タンパクである他、コレステロール値を下げ、動脈硬化を抑制し肝機能を増強、眼精疲労を回復させるなどの効果もあります。 干しスルメ等を噛む行為は脳神経細胞の結合部分の形成や機能維持に役立つと言う報告もあり、老化防止にも効果があるようです。又、成長期に良く噛むことで、あごの骨や筋肉の発達を助け、噛み合わせも良くなります。噛む事で唾液の量も増え唾液中の抗体による免疫反応が活発になる働きもあります。
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イラスト:加工品課 石橋 |
イカは身近な海産物というイメージがありますが、その生態はまだまだ解明されていません。しかしその進化の過程を見ると貝という防御型の生活形態から一念発起、自らの肉で殻を包み込んで除々に流線形の体を作り、高速遊泳を可能にしました。その結果、無脊椎動物の中で、感覚器官、運動器官、その他でもっとも高い性能を持つに至りました。 地球上の無脊椎動物でもっとも巨大な物もイカ(ダイオウイカ)で、これまでの記録では18メートルに及ぶものが発見されています。マッコウクジラとダイオウイカの格闘は有名ですが(マッコウクジラはダイオウイカが大好物)、ダイオウイカが勝つ事は、まずありません。しかし、捕獲されたマッコウクジラの胃袋からダイオウイカが吐き出された時、クジラの口の周りはキズだらけになっているそうです。それは、ダイオウイカがギザギザの歯が付いた触腕掌部の吸盤で一矢報いた跡なのです。 地球上で最大の哺乳類を、てこずらせる唯一の動物それもイカなのです。
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